誰が言ったのだ、すべては焼け尽きた もう大地に種子を播いても無駄だなどと 誰が言った、大地は息尽きたなどと 違う——大地は一時息をひそめたのだ 母なるものは大地から奪えない 取り去れない、海を汲みつくせないように 誰が信じたのだ、大地が燃え尽きたなどと 違う——大地は黒ずんだのだ、悲しみのあまり 切り傷のように塹壕が横たわり 爆撃のあとは、傷口がひらいたまま むき出しにされた大地の神経は この世ならぬ苦しみを知っている 大地はすべてを堪え、時を待つ 大地を片輪者だと片づけるな 誰が言ったのだ.大地はもう歌わないなどと 大地は永遠に口をつぐんだなどと 違う——大地は鳴り響く、うめきを抑え 傷口のすべて、はけ口のすべてを使って だって大地とはわれらの心 軍靴が心を踏み潰すことはできない    
© 宮沢俊一. 翻訳, ?