全力で走る、根を限りに だが今日もきのうと同じ 俺はやられた、取り囲まれた 楽しそうに追い立てやがる、この俺を もみの樹蔭に銃がちらつく 猟師どもが隠れているのだ 雪の上に狼たちがもんどり打って 生きた標的と化してゆく オオカミ狩リは今やたけなわ 灰色の猛獣は老いも若きも狙われて 勢子は叫び、犬どもは激しく吠え立てる 雪の上には血、そして小旗の赤い点々 オオカミ狩りは不公平だ お雇い猟師ども、手も震わせず 赤い小旗で俺たちの自由を奪い 自信満々、撃ってくる 狼は伝統に忠実なのだ! 赤ん坊の頃、目の見えぬ赤ん坊の頃 俺たち子オオ力ミは母親の乳房を吸い 植えつけられたのだ——旗を越えるなと オオカミ狩りは今やたけなわ 灰色の猛獣は老いも若きも狙われて 勢子は叫び、犬どもは激しく吠え立てる 雪の上には血、そして小旗の赤い点々 俺たちは足が早く、牙は丈夫 なぜだい、大将、答えてくれ 俺たちは追われて逃げる、銃口に向って なのに、どうして禁を破ろうとしないんだ? 狼には出来ないんだ、どうしてもできない! だから、俺の時代は終りそうだ 奴、俺を狙うことになってる奴 にやっと笑って、銃を向けた! オオ々ミ狩りは今やたけなわ 灰色の猛獣は老いも若きも狙われて 勢子は叫び、犬どもは激しく吠え立てる 雪の上には血、そして小旗の赤い点々 俺は従順さを棄てた つまリ旗を越えた——生きたい欲望は強い 後から俺は声を聞いた 人間どもの驚きの叫びを 全力で走る、根を限りに だが今日は、きのうとは違う 俺はやられた、取り囲まれた だが、お雇い猟師は手ぶらのまま オオカミ狩り今やたけなわ 灰色の猛獣は老いも若きも狙われて 勢子は叫び、犬どもは激しく吠え立てる 雪の上には血、そして小旗の赤い点々
© 宮沢俊一. 翻訳, ?